抄録
太陽電池用のSiウェハは製造時にインゴットの切断工程を必要としており、その際に切断ロスとして無駄となるSi(廃Si)はインゴットの体積の60%以上にのぼることが報告されている。本研究ではSi融液に濡れない基板を作製し、2枚の基板の間にSi融液を保持した状態で一方向性凝固させる方法で、板状Si結晶を切断することなく直接育成する検討を行った。使用した基板へのSi融液の浸み込みおよび結晶化したSiと基板との固着はともに見られず、大きさ30×40×0.8 mm3程度の板状Si多結晶を育成することに成功した。結晶中のC, N, O濃度はいずれも太陽電池用Siの基準を満たす値であった。