抄録
Pr3+-Yb3+を共添加したイットリア、ガドリアを固相反応法により作製し、それぞれについて、可視域から近赤外域にわたる光学特性を調べた。イットリア試料について、室温ではPr3+:3P0準位からの発光が、5d軌道を介した電子のPr3+:1D2準位への緩和により、消光してしまうことがわかった。一方、ガドリア試料では室温でも3P0準位からの強い発光が観測された。そこで両ホスト中におけるPr3+の配位座標モデルを提案した。また、Pr3+からYb3+へのエネルギー移動についても調べ考察した。両ホスト中でのPr3+の配位座標モデルの違い、エネルギー移動についての考察から、ガドリア試料におけるPr3+:1G4発光増強の原因を推測した。