現在,わが国における透析患者数は2010年12月末時点でおよそ30万人となっている。しかし,現行の濾過型治療に用いられるpHEMA被覆活性炭は吸着特異性が低く,血液適合性も劣るためヘパリン等の抗血液凝固薬剤の投与が必須である。そこで,血液適合性や吸着特異性,血液と接触する面積が大きな吸着材および安価なコストで製造可能なカラムシステムが必要である。 蛋白質吸着特異性を得るためには吸着材料について高い比表面積,標的蛋白質の大きさに近い細孔分布をもつことが重要である。ここで,上記の特徴を制御できるものにナノチューブマットがある。そこで,本研究では安価な鋳型材料としてPVAファイバーマットをエレクトロスピニング法により作製した。さらにそのマット表面にシリカ粒子をStöber法によりコーティングした後焼成し,シリカナノチューブマットを作製することを目的とした。