抄録
本実験では、中空球状リン酸四カルシウム(Ca4(PO4)2O; TTCP) を噴霧熱分解法を用いて作製した。まず噴霧熱分解水溶液はCa/P比が2.00になるよう調製し,600ºCにて噴霧熱分解を行い,粉体を得た。この噴霧熱分解粉体を600ºC10分間仮焼を行った後,空気中で1500ºC3時間加熱処理を行ったところ,TTCPが得られたが、中空球状の形態は保持されていなかった。そこで,合成条件の中で,TTCPの生成には残留水分が特に影響すると判断したことから,雰囲気を残留水分の吸着除去に有効なN2に変えて1200ºC, 3時間加熱したところ,TTCPの単一相が得られ,さらに中空球状の形態を保持していた。この中空球球状TTCPを市販のa-Ca3(PO4)2, CaHPO4およびHApを混合し,練和液を加えてリン酸カルシウム硬化体を作製した。この硬化体を37ºCの疑似体液中に浸漬させたところ,板状のHApの析出が確認された。