抄録
Ba6Nd2Al4O15型構造を有する新規酸化物Ba5Ln3MM'3O15(Ln = La, Nd, Sm; M = Mg, Zn; M' = Fe, Co, Ga)の結晶構造を磁気的性質について報告する。粉末X線回折測定から結晶構造解析を行ったところ、得られた全ての試料においてBa6Nd2Al4O15型構造をとることが明らかとなった。磁化率に反強磁性転移が観測されたが、比熱にλ型の異常が観測されないことから、この化合物は典型的なスピングラス化合物であることが示唆された。Ba5La3ZnFe3O15の常磁性磁化率はCurie-Weiss則には従っておらず、クラスター構造に起因する磁気相互作用が考えられる。常磁性磁化率のモデルごとのフィッティング、飽和磁化の値、さらに57Feメスバウア分光測定における各ピークの異性体シフトおよび面積強度の結果から、Ba5La3ZnFe3O15ではFeがMO6ユニットのMサイトを優先的に占有した構造を有することが示された。