抄録
立方晶ペロブスカイトEuTiO3では,Aサイトを占有するEu2+の4f局在スピンが5.5 KにおいてG型の反強磁性秩序を形成する.最近,EuTiO3エピタキシャル薄膜において,面外格子膨張や面内引っ張り歪により強磁性秩序が誘起されることが報告され,大きな注目を集めている.本研究では,第一原理計算によりEuTiO3を始めとしたEu2+ペロブスカイト酸化物の磁性と電子構造の関係を系統的に調べ,その磁気的相互作用のメカニズムについて議論した.結果として,EuTiO3のEu 4fスピン間にはTi 3d状態を介した反強磁性的超交換相互作用が働いていることが示唆された.