抄録
ゼオライトは結晶構造中に無数の均一なミクロ細孔を持つアルミノケイ酸塩で、分子ふるい能や触媒能、イオン交換能を有する機能性材料として広く応用されている。構造や組成の微妙な違いにより数多くの種類が存在するため、様々な用途に適用可能である。よく知られているゼオライトとしてはFAU(Y・X型ゼオライト)やLTA(A型ゼオライト)、MFIなどがあり、特にLTAは高親水性ゼオライトで、優れた脱水能を有しているため膜分離精製における分離膜として期待が高まっている。従来の高分子膜に比べ分離に使用可能な温度範囲が広く、また分離性能が良い有機液体脱水膜として普及が進んできている。これらゼオライトは水熱条件下で合成されるが、熱源からの熱伝導で加熱される外部加熱方式では数時間から数十時間以上の合成時間を要するため、近年ではマイクロ波加熱を用いた合成が盛んに研究されている。マイクロ波照射によって分子振動が発生し摩擦熱が生じ、物質は内部から加熱されるため、マイクロ波加熱は急速加熱・均一加熱を可能にする。そのため合成時間短縮や結晶の微粒子化などが報告されているが、これらの影響について詳しくは明らかにされてはいない。本研究ではマイクロ波水熱法を用いたゼオライト合成において、マイクロ波水熱法が与える影響に着眼して検討した。