抄録
アンモニアは大気環境中の代表的な悪臭物質であり、ごく低濃度でも人に不快感を与えるため、生活環境からの迅速な除去が求められている。本研究では、光触媒TiO2の表面に固体酸であるタングストリン酸(H3PW12O40, PW12)を担持することでアンモニア吸着能を付与し、アンモニアを効果的に吸着・分解する光触媒を作製し、光触媒活性を調査した。作製した複合体はTiO2単体と比較して3.5倍のアンモニア吸着能を持ち、分解容器中のアンモニアをTiO2単体と同程度の速さで分解した。また反応前後で光触媒上に吸着しているアンモニアの量を調べると、TiO2ではほとんど変化が見られなかった一方で、複合体では光照射によって顕著な減少が見られた。