抄録
中温型固体酸化物形燃料電池(SOFC)の代表的な空気極材料LSCFは4金属元素で構成されている複合酸化物であり、各元素の偏析は電気特性や機械特性、耐久性に影響することが考えられる。
すなわち、抵抗相や機械的特性上の欠陥の生成である。
本研究ではクエン酸を用いた湿式法において、クエン酸との反応条件、焼成条件をパラメーターに粉体を合成し、得られた粉体の元素分布状態を評価した。
その結果、回折X線チャート上では単相と判断される試料においても、合成条件によっては元素が偏析することが確認された。
元素の偏析には2種類有り、クエン酸塩が溶解してない反応液の場合に生じる1~3種の元素を含む偏析とCo単独の偏析である。
Co単独の偏析は粉体合成時の焼成温度によることが明らかになった。
以上より、均一性の高いLSCFの合成条件を確立できた。