抄録
ダブルペロブスカイト型構造のGdBaCo2O5+δ (GBCO) は、中温型固体酸化物型燃料電池 (IT-SOFC) の電極材料として有望視されている。そのため、結晶構造と酸化物イオン拡散についての様々な研究がなされてきた。本研究では、第一原理計算とモンテカルロ法を組み合わせることでGBCOにおけるO/VO配列を解明することを試みた。その結果、δ=0.5のとき、300 Kにおいて、Gd層内で酸素と空孔がa-b面方向に交互に並んだ配列が観測された。Gd及びBa層の占有率は460 K以上で、Co層の占有率は700 K以上で変化し始めた。酸化物イオンの拡散にはCo層の経由が不可欠であるため、酸素組成が一定であるとき、酸化物イオンが拡散可能となるのは700 K以上であることが示唆された。