抄録
焼結は粉体を加熱して緻密な複雑形状部品を製造する技術であり、製品の寸法精度を保証するためには焼結中の収縮挙動を予測することが重要である。焼結の際の巨視的な収縮挙動は粒子スケールの微構造に影響される。結晶粒子の並進運動と回転は結晶粒の相対方位関係で決まるため、様々な方位関係をもつ粒界の焼結挙動を個々に把握することが望まれる。
本研究では微小試験片を用いて、金(Au)の単一粒界の焼結中の粒子の並進運動と回転を直接計測した。収縮速度は焼結力と粒界拡散係数に比例し、回転速度は粒界エネルギーの方位依存性や粒界拡散係数に決まる。微小試験片の焼結の3次元シミュレーションと実験結果とを比較することにより、粒界拡散係数と粒界エネルギーの方位依存性を推定できた。