抄録
色素増感太陽電池(DSSC)を構成する部材の中で,透明導電性ガラス基板は高いコストを占めており,これをプラスチック基板で置き換える試みがなされている.しかしプラスチック基板を用いる場合には,金属酸化物半導体膜(アノード膜)を作製する際,基板のガラス転移点以下の温度条件で製膜するプロセスが必要となる.本研究ではZnO系プラスチックDSSCの作製を目指した.低温で合成が可能な層状水酸化酢酸亜鉛(LHZA)膜を前駆体として用い,2つの方法,(1)溶解・析出法,(2)熱分解法によって90 ºC以下で多孔質ZnO膜を基板上に得ることに成功した.またこれらのZnO膜をITOコートプラスチック(ITO-PEN)基板上に作製し,DSSC電極としての性能評価をおこなったところ3%を超える変換効率を記録した.