抄録
近年薬学教育は、薬剤師として良好な人間関係を築くためのコミュニケーションを重視している。本研究では、2022年度「臨床コミュニケーション」を選択した3年次薬学生220名を対象に、講義前後にコミュニケーションルーブリック評価票(Communication Rubric:以下CR)を用いてコミュニケーション能力の自己評価を実施した。CRは「基本的コミュニケーション能力」「専門的対人スキル」に分けて構成され、学生自身のコミュニケーション能力に関する振り返りの記述欄を設定した。講義前後で得られた学生の振り返りの記述を、グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて質的に分析し、コミュニケーション能力を涵養するうえでの学生の振り返りの特徴を検討した。その結果「受動的姿勢・自己効力感の低さが起因するコミュニケーションの困難さが成長実感へ変容する要因」、及び「感情コントロール不能・他者意識の欠如による対人関係でのコンフリクトを克服してアサーティブな態度獲得を実感する要因」の2つの特徴が抽出された。