2023 年 103 巻 1 号 p. 36-39
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は大腸腫瘍に対する標準的治療として確立され,病変サイズや形態,線維化の有無に関わらず一括切除率が高いという利点がある.一方でESDは技術的難易度が高く,穿孔や出血などの偶発症のリスクを伴う.現在,様々なトラクションデバイスが開発されており,安全かつ効率的にESDを施行するうえで有用である.
新規トラクションデバイス(ディスポーザブル把持鉗子LA-400-01)を用いることで,上行結腸の30 mm大0-Is病変に対してtraineeが偶発症なくESDを施行し得た.本デバイスは牽引部位や牽引強度を適宜調整することで,粘膜下層剥離に必要な安定した視野確保が得られる.文献的考察を加えて本デバイスの有用性について報告する.