Progress of Digestive Endoscopy
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原著
抗血栓剤服用者における急性下部消化管出血の長期成績
白鳥 安利新倉 量太西田 勉本田 徹郎波佐谷 兼慶辻 重継住吉 徹哉藤田 朋紀清時 秀矢田 智之山本 克己篠崎 智大池谷 敬山田 篤生藤城 光弘福田 勝之
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2023 年 103 巻 1 号 p. 40-47

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抄録

【目的】急性下部消化管出血に対する緊急内視鏡検査の有用性に関する多施設ランダム化比較試験において, 抗血栓薬の継続, 休薬が及ぼす退院後の長期予後の検討を行った.

【方法】2016年6月から2018年5月の間に血便で受診した159例のうち, 抗血栓薬を服用している76例を解析した. 退院時の抗血栓薬の継続群 (50例), 休薬群 (26例) の365日以内の再出血率, 血栓症発生率, 輸血率, 死亡率を比較した.

【成績】休薬群は再出血率 (0 vs 10%), 輸血率 (0 vs 6%), 死亡率 (3.6 vs 6%) が継続群と比べて低率であった. 血栓症の発生は両群に認められなかった. 継続群の再出血ハザード比は4.46 (95%信頼区間, 1.00-17.8) であった. 再出血を生じた5例の内, 4例が抗血栓薬を多剤継続していた. 再出血源は3例が大腸憩室出血であった.

【結論】下部消化管出血の退院後の抗血栓薬の継続は, 長期の高再出血率と関連する可能性が示唆された. 特に複数の抗血栓薬を使用する患者において, 退院後の抗血栓薬の管理は, 循環器専門医, 脳神経専門医, および主治医との連携が非常に重要である. これらの結果を検証するためには, さらなる大規模な研究が必要である.

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© 2023 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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