抄録
本来回腸に存在するpaneth細胞と類似の形態及び染色性を示す細胞が癌組織内に存在することが稀にあり,これをpaneth様腫瘍細胞と呼んでいる。症例は67歳,男性。平成12年6月13日上部内視鏡検査を施行したところ,胃体下部後壁にⅡa+Ⅱc型早期胃癌を認めた。同病変の生検では,paneth細胞への分化像を伴う高分化型腺癌が認められ,同年7月17日当院外科にて幽門側胃切除術を施行した。切除標本の病理組織所見では,好酸性に染色された特徴的なpaneth様腫瘍細胞が認められ,特殊染色や免疫染色では,いわゆる本来のpaneth細胞とほぼ同様の染色性を示した。このpaneth様腫瘍細胞を伴う胃癌には,分化型早期胃癌が多く,しかも背景胃粘膜として完全型腸上皮化生が関連しているという報告が多くみられ,今回の我々の症例もそれを肯定するものであった。