抄録
CTのデータを用いたCT enema像(注腸X線類似表示法)について筆者らの利用方法を簡単に述べ,大腸癌の術前検査としての可能性を検討した。
CT enema像による大腸癌の部位診断能と深達度診断能について解析した。対象は3D-CT像を構築した大腸癌87症例96病変である。
CT enema像による病変の描出率は94.8%であり,CT施行前の内視鏡の際に病変近傍においたMarking clipによる解剖学的位置の把握は全例で可能であった。また,CT enema像での壁変形と壁深達度に相関がみられた。
CT enema像の特長は画像の再構築が可能で,側面像の描出が容易な点であり,大腸癌に対する術前検査として十分に確立される可能性がある。