抄録
大腸内視鏡挿入手技の向上におけるUPDの有用性について検討した。方法はUPDを用いて大腸内視鏡を行った群(n=72),およびUPD非使用群(n=93)を対象とし1)S状結腸通過時間,2)盲腸到達時間,3)盲腸到達率,4)術者別の経時的推移,について比較検討した。なお,術者の手技のレベルは工藤分類を用いて1~5の5段階に,同様に被検者の腸管走行・難易度をパターンA,B,Cの3段階に分類した。以上の検討の結果,レベル1群ではUPD使用によって,パターンAでSD通過時間の短縮,パターンBで盲腸到達率の上昇を認めた。また,レベル2群ではすべてのパターンにおいてSD通過時間の短縮が見られ,さらにパターンBでは盲腸到達率の上昇を認めた。一方,術者別の検討では,レベル1の術者においてUPD使用例が非使用例よりもSD通過時間,盲腸到達時間の短縮が見られた。以上から,UPDは特に大腸内視鏡初心者の手技向上に有用と思われた。