Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
早期胃癌に対する全身麻酔下ESD症例の検討
島田 敦磯部 陽川口 義樹岸 信也徳山 丞和田 則仁竹内 裕也大石 崇池内 駿之窪地 淳松本 純夫青山 康彦小林 佳郎前島 新史廣瀬 茂道倉持 茂
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キーワード: 胃癌, ESD, 全身麻酔
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2006 年 68 巻 2 号 p. 35-39

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抄録

 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)により大型病変の一括切除率が向上したが,病変の局在部位や大きさにより治療に長時間を要する症例も少なくない。そのため,治療が2時間以上かかると予測した早期胃癌症例を中心に,全身麻酔を導入しESDを行った。対象は17症例20病変で,患者の平均年齢は71.5歳であった。治療が2時間を超えると予測した理由は,病変径が3cmを超えるものが9例,治療困難な位置(胃管,残胃,食道胃接合部)にあるものが3例,胃内多発病変が2例であった。病変が3cmを超えるものをA群,それ以外をB群として検討を行った。平均切除径はA群で42.1mm,B群で23.8mm,平均治療時間は,A群で147分,B群で178分であった。一括切除率は,A群で7/9,B群で9/11病変で,側方,垂直断端陰性率は,A群で9/9,B群で9/11病変であった。ESDに伴う偶発症では,後出血は1例もみられず,穿孔は1例に認めたが保存的治療にて軽快した。全身麻酔に伴う合併症は1例もなく,穿孔症例を除いた16例は治療後8日目に退院した。また,併存疾患を有する3例においても安全にESDが遂行できた。術者の技術熟達度などにより適応は変化していくと考えられるが,治療が長時間を要すると予測された症例には,全身麻酔下でのESDは有用であると考えられた。

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© 2006 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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