2006 年 68 巻 2 号 p. 40-44
【背景と目的】胃癌治療ガイドラインの絶対適応外病変に対する内視鏡治療例を検討し再評価する。【対象】当院における相対適応EMR 137例を対象とした。相対適応EMRを選択した理由は,診断的治療64例・手術高リスク65例・重複癌8例であった。【背景因子】未分化型腺癌20例,径20mm以上52例,癌巣内潰瘍あり45例であった。病理結果は垂直断端陽性13例・不明瞭5例,水平断端陽性27例・不明瞭60例,粘膜下浸潤あり39例,ly(+)14例,v(+)6例であり,生検で27.7%(38/137)に遺残を認めた。【治療評価】治療後合併症は,出血13例(9.4%)・穿孔3例(2.2%)であった。術後平均観察期間は5.2年(0.5~13.3年)であった。再発は15.3%(21/137)で,その転帰は再発消失12例・再発生存4例,再発死2例・他病死3例であった。他病死を除く5年生存率は94.4%であった。【結論】相対適応EMRにて後出血9.4%,穿孔2.2%を認め,EMR後遺残または再発を43.0%に認めた。一方,5年生存率94.4%と良好な遠隔成績が得られ,相対適応EMRの有用性が示唆された。