抄録
2004年1月から2006年7月の期間に当センターにて食道表在癌は25例中19例(男18例,女1例,平均69.8歳)に対し拡大内視鏡観察を行い内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した。治療適応病変は深達度m1-2までとし,良好な術野の確保が可能であることを条件とした上で,大きさは問わないとした。食道表在癌19病変の肉眼型は0-Ⅱa2例,0-Ⅱb9例,0-Ⅱc7例,0-Ⅱb+Ⅱa1例で大きさは平均37.5mm(15~70mm)であった。穿孔の偶発症は1例認めたのみで,遺残・再発例はなかった。拡大内視鏡所見による推定深達度と病理組織学的深達度の比較では感度・特異度とも100%で,良好な正診率であった。拡大内視鏡観察によって,より正確な質的診断,深達度診断が行われている中で,ESDによる治療適応病変も拡大されつつある。今回,ESDが有用であった悪性黒色腫の1例を経験し文献的考察を含めて報告した。