2007 年 70 巻 2 号 p. 96-97
症例は84歳男性。貧血・下血を主訴に当院救急部を受診。消化管出血を疑い,上部消化管内視鏡検査を施行。出血源は十二指腸下行部からの出血と考えられたがその同定はできなった。血管造影も行われたが,出血源の同定には至らなかった。その後,再出血を起こしたため,内視鏡先端に透明フード装着し再度内視鏡検査を施行した。内視鏡の反転操作により十二指腸下行部の多発憩室と憩室内の露出血管を認めたため,クリッピング法にて止血を行った。十二指腸憩室出血の診断に透明フードを装着した内視鏡が有用で,その治療にクリッピング法による止血術が有効であった症例を経験した。