Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
潰瘍性大腸炎関連腫瘍のサーベイランスにおける拡大内視鏡観察の意義
乾 正幸水野 研一大塚 和朗児玉 健太工藤 由比樫田 博史工藤 進英
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2008 年 73 巻 2 号 p. 74-76

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抄録

 潰瘍性大腸炎(UC)患者の増加とともに重要となってきたUC関連腫瘍のサーベイランス内視鏡の有効性について検討した。まず,全大腸炎型,左側大腸炎型潰瘍性大腸炎患者85例を対象とし,通常内視鏡観察に続き色素内視鏡および拡大内視鏡観察を行い,同部からの生検標本と比較検討した。次にUC関連腫瘍13症例を検討した。pit pattern診断は工藤分類によった。Ⅰ型,Ⅱ型pit patternの部位からの生検510個からは,UC関連腫瘍は検出されなかった。UC関連腫瘍では,VN型ないしVI型,Ⅳ型,ⅢL型類似のpit patternがみられ,特にⅣ型のpit patternを呈する病変が多かった。これらでは,pitの癒合や腺口開大,大小不同,腺管密度が疎となる等の不整な変化が領域性をもって認められた。pit pattern観察によってⅢL,Ⅳ,Ⅴ型などの腫瘍性pit patternを呈する箇所より生検すればより効率よくUC関連腫瘍が検出できる可能性がある。

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© 2008 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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