潰瘍性大腸炎(UC)患者の増加とともに重要となってきたUC関連腫瘍のサーベイランス内視鏡の有効性について検討した。まず,全大腸炎型,左側大腸炎型潰瘍性大腸炎患者85例を対象とし,通常内視鏡観察に続き色素内視鏡および拡大内視鏡観察を行い,同部からの生検標本と比較検討した。次にUC関連腫瘍13症例を検討した。pit pattern診断は工藤分類によった。Ⅰ型,Ⅱ型pit patternの部位からの生検510個からは,UC関連腫瘍は検出されなかった。UC関連腫瘍では,VN型ないしVI型,Ⅳ型,ⅢL型類似のpit patternがみられ,特にⅣ型のpit patternを呈する病変が多かった。これらでは,pitの癒合や腺口開大,大小不同,腺管密度が疎となる等の不整な変化が領域性をもって認められた。pit pattern観察によってⅢL,Ⅳ,Ⅴ型などの腫瘍性pit patternを呈する箇所より生検すればより効率よくUC関連腫瘍が検出できる可能性がある。