Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
肛門部病変に対するNBI拡大内視鏡診断の有用性
小山 真一郎入口 陽介小田 丈二水谷 勝高柳 聡冨野 泰弘岸 大輔大村 秀俊板橋 浩一藤田 直哉中河原 亜希子細井 董三山村 彰彦櫻井 宏一佐々木 裕
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2011 年 78 巻 2 号 p. 67-69

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抄録

 肛門部病変に対するNBI内視鏡観察の有用性について検討した。対象は,当センターで経験した異型上皮,尖圭コンジローマ,早期扁平上皮癌。肉眼型は,いずれも表面隆起型から平坦型で,わずかに白色調を呈していた。とくに異型上皮は,表面平滑で境界不明瞭なため,通常観察では存在診断が困難であったが,NBI拡大観察では,咽頭や食道の扁平上皮領域の病変に認められる不整な血管所見に類似した所見が明瞭となり,範囲診断においても有用であった。尖圭コンジローマは,光沢のある白色調の微細顆粒状隆起で,NBI拡大観察では,顆粒内に茶色の点状な血管を認め,乳頭状の発育を示していた。早期扁平上皮癌は,微細~小顆粒状で歯状線近傍に存在していたため,腺腫あるいは腺癌との鑑別が困難であった。NBI観察では,血管の口径不同や配列・走行の不整を認めたため,扁平上皮癌と診断した。以上から,これらの肛門病変では,存在診断および質的診断において,NBI拡大観察は有用であった。

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© 2011 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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