抄録
【目的】ERCP時のスコープ挿入に伴う偶発症の詳細と対処法を検討した。【方法】対象はERCP 1907件で,正常胃;1791,Billroth-Ⅰ;49,Billroth-Ⅱ(B-Ⅱ);47,Roux-en-Y;13,その他;7。検討項目は,1)偶発症率と内訳,2)偶発症詳細,3)施行医,4)対処法,5)転帰とした。【結果】1)偶発症率は1.3%(裂創20例,穿孔4例)で,正常胃では1.3%(裂創20例,穿孔3例),B-Ⅱでは2.1%(穿孔1例)であった。2)発症部位は,裂創が食道胃接合部19例,前庭部1例で,穿孔は十二指腸下行脚2例,上十二指腸角1例,B-Ⅱは輸入脚であった。発症機序は,裂創はスコープのプッシュ操作,十二指腸穿孔はスコープのストレッチ操作,輸入脚穿孔はスコープ先端に装着したキャップのコンタクトによるものであった。3)偶発症施行医の手技件数中央値は32.5件(2~566)で,75%が50件以下の非熟練者であった。4)裂創はトロンビン散布11,クリップ6,高調Naエピネフリン局注1,なし5(重複あり)で,穿孔は手術2,保存的2であった。5)手技関連死亡はなかった。【結論】特に非熟練者では胃内へ挿入する際の裂創,十二指腸でのストレッチ操作時の穿孔に注意を要する。穿孔は手術を要する場合があり,早急な外科との連携が重要である。