抄録
2007年4月~2010年3月まで当院で術前生検組織がtub2-porでありESDが施行された32例を対象に,NBI拡大観察が病変全体の組織型の把握に関して有用であるかを検討した。未分化型癌が粘膜全層に存在している際に認める特徴的な血管を「未分化型不規則血管(以下,不規則血管)」と定義し,NBIでの不規則血管観察の可否と,ESD病理組織を比較検討した。対象の32例中,不規則血管を認めたのは20例で全例が分化型,未分化型混在癌(以下,混在癌)であった。不規則血管を認めなかった12例のうちESD病理組織で6例が混在癌で6例が純分化型であった。混在癌の主組織型が未分化型であった13例中12例(92.3%)で不規則血管を認めた。混在癌の主組織型が分化型であった13例中8例(61.5 %)で不規則血管を認めた。混在癌にも関わらずNBI拡大観察で不規則血管を認めなかった6症例は,病変内の未分化型成分の占める割合の低い症例と粘膜表層は分化型で粘膜深層で未分化型癌の症例であった。不規則血管に着目した本検討により,面としての診断が可能なNBI拡大観察は,胃癌組織型について生検では得られない有用な情報を提供しうることが示された。