抄録
症例は27歳,男性。心窩部痛を主訴に近医受診。上部消化管内視鏡にて食道胃接合部に粘膜不整を認め,生検にてGroup 4であり悪性疾患が疑われ当院へ紹介受診となった。当院での上部消化管内視鏡では,NBI拡大観察にて血管蛇行や癒合を伴う異型血管を認め,short segment Barrett’s esophagus(SSBE)より発生したBarrett腺癌が疑われ,診断的治療目的に内視鏡的粘膜下層剥離術を施行した。病理組織学的診断にてBarrett腺癌と診断され,粘膜下層浸潤,脈管侵襲を認めたため追加外科的切除となった。本邦では全食道癌の90%以上が扁平上皮癌であり腺癌は比較的稀である。しかしH. pylori感染率低下,食生活欧米化によるGERD増加に伴い,近年Barrett腺癌の増加が懸念されている。一方,若年者におけるBarrett腺癌の報告は本邦,欧米含め散見されるのみである。今回我々は若年者に発生したBarrett腺癌を経験したので文献的考察を含め報告する。