2014 年 84 巻 1 号 p. 56-59
膵漿液性囊胞腫瘍(serous cystic neoplasm : SCN)には亜分類があり,非典型例とされるMacrocystic typeやSolid typeは,他のmalignant potentialを有する膵腫瘍との鑑別にしばしば難渋する。我々は当院で経験したSCN(26例28病変)の臨床的特徴に関してretrospectiveな検討を行った。検討項目は,発症年齢,性別,症状の有無,腫瘍の局在,腫瘍径,ERCP所見,EUS所見(SCNの亜分類),経過とした。平均年齢は60.0歳で,女性に多かった。有症状は7例に認められた。腫瘍の局在は,膵鉤部/頭部/体部/尾部/体尾部=1/5/12/7/3病変,平均腫瘍径34.4mmであった。EUSによる亜分類は,Microcystic type/Macrocystic type/Solid type=14/13/1病変で,これまでに14例に対し切除が施行された。malignant potentialを有する他の膵腫瘍との鑑別が必要となるMacrocystic typeは,microcystic typeと比べ有意に切除例が多かった(p<0.05)。