抄録
【背景・目的】胃病変に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(胃ESD)の技術的難易度の改善のため,当院ではデンタルフロス付きクリップによる牽引法(DFC法)を行っている.胃ESDにおけるDFC法の安全性と有効性について検討した.【方法】2012年5月〜2014年12月の間に当院での胃ESDを施行した胃上皮性腫瘍288病変を対象に,後ろ向きに検討した.DFC法使用群57例と通常ESD群231例において,一括切除率,完全切除率,治療時間,偶発症の発生率を比較検討した.【結果】両群間の患者背景は同等であった.一括切除率,完全切除率,術後出血・術中穿孔発生率は,いずれも両群間で有意差を認めなかった.平均治療時間はDFC群が平均81.6分±78.4,通常ESD群が97.3分±68.1でDFC法群が有意(p=0.020)に短かった.【結論】DFC法は胃ESDの技術的難易度の改善に有効である.