抄録
【目的】現在の大腸ESDの保険適応は20mm以上50mm以下の大腸腫瘍である.切除腫瘍径50mmを超える直腸腫瘍に対するESDの治療成績を検証する.【方法】当院にて施行したカルチノイドを除く直腸ESD160例のうち,切除腫瘍径>50mmをL群(44病変),≦50mmをS群(116病変)とし,両群の患者背景,腫瘍の特徴と臨床病理学的結果を後ろ向きに検討した.【結果】患者背景は平均年齢(歳)=63.4 : 65.7,平均腫瘍径(mm)=80.9 : 30.5,平均手技時間(分)=146.4 : 52.3,一括切除率=97.7%,99.1%,治癒切除率=79.5% : 87.1%であった.患者背景,一括切除率,治癒切除率に有意な差はなかったが,平均手技時間はL群の方が優位に長かった.偶発症としてL群2例に穿孔を認めたが,全例保存的に軽快した.また,術後入院期間はL群が有意に長かった(12.95 : 9.00日).【考察】切除腫瘍径50mmを超える直腸腫瘍に対するESDは,治療に対する技術的難易度が高くなるものの,重篤な偶発症はなくかつ確実に実施できており,人工肛門を回避でき機能温存の観点からもメリットは大きく,有効な治療法であると考えられた.