Progress of Digestive Endoscopy
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症例
胃全摘後の瘻孔を伴う食道空腸吻合部狭窄に内視鏡治療が奏功した1例
安達 哲史柿本 年春神田 仁山口 俊和
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キーワード: 縫合不全, 食道ステント
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2015 年 87 巻 1 号 p. 72-75

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抄録
症例は77歳,男性.胃全摘術後に縫合不全および腹腔内膿瘍を合併し保存的に加療していたが,吻合部狭窄および瘻孔の拡大を認めたため,保存的加療の継続は困難と判断された.術後心機能低下のため再手術は困難であり,内視鏡治療目的で術後36日目に当科に紹介された.上部消化管内視鏡検査で吻合部にピンホール状の狭窄を認め,上部消化管造影検査で4cm長の狭窄と瘻孔から造影剤の漏出を認めた.食道拡張用バルーンを用いて緩やかに拡張後,ステント長10cm・カバー長7cm・ステント径22mmのUltraflex esophageal covered stent(Boston Scientific社製)を留置し瘻孔を閉鎖した.ステント留置3日後より食事を開始し,合併症なく退院した.その後食物残渣によるステントの閉塞を2回認めたため,ステント留置6カ月後に2チャンネルスコープ(オリンパス社GIF 2TQ260M)を用いて透視下でステントを抜去した.抜去後瘻孔の閉鎖を確認し,再狭窄を認めず経過観察中である.
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© 2015 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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