理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1115
会議情報

神経系理学療法
大学病院と地域療育機関における連携
岩松 秀樹横山 美佐子軽部 敦子加藤 景野渡 正彦岩崎 俊之武井 研二本澤 由美子村田 英二樋口 滋小玉 美津子石井 和彦辺土名 隆
著者情報
キーワード: 小児, 地域連携, 他職種
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】大学病院(以下当院)での小児リハビリテーション(以下リハビリ)は、NICUをはじめPICUより早期介入を図り対応している。通常、退院後も外来にて継続し、必要に応じて地域療育機関へ引継ぐ流れとなっている。しかし、地域療育機関には医師が常駐しておらず、さらに明確な引継ぎ基準がないため、引継ぎに支障をきたす児も存在していた。そこで、地域療育機関との連携を目的に平成16年より小児療育連絡会(以下連絡会)を発足した。現在、相互に情報交換が図れ、特に小児科医師を交えることによって、児に対する継続したリハビリへの展開が円滑になった。今回、当院と地域療育機関における連携について今後の課題を含めて報告する。
【概要・目的】連絡会は月1回の頻度で行い、3市5施設の理学療法士や作業療法士、小児科医師やソーシャルワーカー・保健師・保育士等で構成されている。主な目的は、当院と地域療育機関における連携を深め、引継ぎ基準を明確にして児に対する継続したリハビリの展開を図ることである。また、勉強会・症例検討・意見交換などを通して、児はもとより家族支援を充実させ、小児医療・療育の質を高めることも目的としている。
【経過】1.当院から地域療育機関への円滑な引継ぎを図るうえで、当院をはじめ各機関の現状を共有し、児に対する関わり・フォローのあり方を把握した。それにより、2.当院からの引継ぎ基準-親の障害受容あり、年齢的な目安が3歳等-を明確化し、引継ぎの時期を再認識した。3.これまでに引継いでいる児の経過を基に、引継ぎに必要となる情報を選定した。また、4.小児科医師の参加により、児の疾患・治療に関する状況把握や、家族支援における相談などについて活発に意見交換を行える場となった。当院における外来での小児リハビリ対象者は、今年6月の時点で119名(うち地域療育機関併用18名)であり、昨年度は7名が地域療育機関へ引継ぎされている。以前は地域療育機関での対応が困難とされた、呼吸障害により吸引頻度の多い場合や、呼吸抑制を認めないてんかん発作を呈する場合等、併用期間を設けながら引継ぎ可能となった。
【考察・課題】連絡会の発足により、コミュニケーションが図れ、各地域療育機関との連携が密になった。各施設間における児の受け入れ状況が異なる中、相互に理解し合い、地域連携の基盤ができてきたと思われる。地域療育機関では医師の関与が少ないため、連絡会による他職種・特に医師を交えた情報交換が、引継ぎをはじめ療育にも大いに反映できている。地域療育機関における受け入れ体制は以前に比べ整ってきているが、成人と比較すると、小児を受け入れる機関は少なく、充実していないのが現状である。今後、継続的なリハビリの提供をはじめ、生涯を通じての児の必要性に応じたリハビリを含む医療体制の整備、福祉・保健・教育のネットワークが重要と考える。
著者関連情報
© 2008 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top