Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
当院における大腸ESDの年齢階級別治療成績の検討
松岡 順子西村 誠藤井 悠子剛﨑 有加松川 美保潮 靖子佐々木 美奈上垣 佐登子
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キーワード: 超高齢者, 大腸ESD
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2016 年 89 巻 1 号 p. 50-53

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抄録

2012年4月に大腸ESDが保険適応となり広く普及しているものの,85歳以上の超高齢者における安全性の報告は未だ少ない.今回当院での超高齢者に対する大腸ESDについて検討した.2013年6月〜2015年9月までに当院で大腸ESDを施行した全106例について,64歳以下の非高齢者A群,65〜85歳の高齢者B群,85歳以上の超高齢者C群の3群に分け比較検討を行った.症例数はA群10例,B群76例,C群20例,性別はA群で男性/女性=5例/5例,B群で54例/22例,C群では5例/15例であった.切除時間,一括切除率,治癒切除率に有意差は認めなかった.A群,C群を比較し,C群では有意な入院期間の延長を認めた.血圧低下,SpO2低下がB群,C群で有意に多かったものの,重篤な合併症はいずれの群にも認めなかった.基礎疾患により追加治療できない例がB群で16例中3例,C群で2例中1例にみられた.A群,B群を比較し,B群では腺癌,高異型度腺腫の占める割合が多くなっていた.当院における大腸ESDは約2割が85歳以上の超高齢者であった.大腸ESDは超高齢者においても安全に施行可能であると考えられた.

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© 2016 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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