Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2187-4999
Print ISSN : 1348-9844
ISSN-L : 1348-9844
症例
胃梅毒と鑑別を要した胃蜂窩織炎の1例
八上 佳和矢間 博貴坂東 具樹
著者情報
キーワード: 胃蜂窩織炎, 胃梅毒
ジャーナル フリー

2017 年 90 巻 1 号 p. 59-61

詳細
抄録

症例は33歳男性.心窩部痛を主訴に来院し,腹部CT検査で胃前庭部に限局性の壁肥厚像を認めた.上部消化管内視鏡検査を施行したところ,同部に浅い潰瘍が多発して認められ地図状に癒合していた.内視鏡像と患者の生活歴(不特定多数との性交歴)から当初,胃梅毒を疑った.しかし梅毒血清反応は陰性で,病変部の組織の免疫染色でもトレポネーマは認めなかった.胃粘膜組織培養の結果,Streptococcus viridansが検出され,胃蜂窩織炎と診断し得た.治療として抗菌薬(AMPC)を開始し保存的に軽快した.胃蜂窩織炎や胃梅毒も急性腹症の鑑別疾患として念頭に置き,慎重に診断と治療を進めるべきと考えられた.

Fullsize Image
著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
前の記事 次の記事
feedback
Top