2017 年 90 巻 1 号 p. 66-69
症例は74歳男性.黒色便とふらつきを主訴に来院し,消化管出血が疑われた.緊急内視鏡検査で十二指腸主乳頭からの出血を認め,腹部CTで膵萎縮や膵実質の石灰化と膵頭部の動脈瘤を認めた.造影剤漏出はみられなかったが,先行する慢性膵炎により形成された動脈瘤が破綻し膵管出血を来したと考えた.血管造影にて胃十二指腸動脈瘤を同定し,経カテーテル的動脈瘤塞栓術で止血を得た.自験例では内視鏡的に出血を確認し得たが,膵管出血の内視鏡同定率は低く,診断に苦慮することが多い.また,内視鏡的に膵管出血が疑われても通常の内視鏡的止血術が有効でない.このように,内視鏡的把握が困難で,かつ内視鏡的治療が第一選択とならない消化管出血の病態があることを念頭に置きつつ,本疾患の病態とアプローチにつき考察する.