2017 年 91 巻 1 号 p. 102-105
症例は69才,男性.40才時,肺サルコイドーシスと診断され無治療で経過観察.健康診断の上部消化管造影で萎縮性胃炎を指摘され他院受診.上部消化管内視鏡の生検で悪性リンパ腫を疑われ当院受診.血液検査でアンギオテンシン変換酵素,リゾチームは正常域であった.上部消化管内視鏡は体下部大彎前壁寄りと体中部大彎後壁寄りに中心部に発赤瘢痕を認め周囲はやや隆起していた.病理組織学的所見で非乾酪性類上皮肉芽腫を認め胃サルコイドーシスと診断した.抗潰瘍剤で3カ月間治療するも病変は増大していた.無症状でH. pylori陽性のため除菌治療を行ったが,除菌後の内視鏡形態に変化は認められなかった.サルコイドーシスは両側肺門リンパ節,肺,眼,皮膚に好発するが消化器病変は比較的稀である.内視鏡所見は多彩で多発潰瘍やびらん,粘膜肥厚や壁硬化,結節性隆起等が挙げられる.長期経過中に胃病変が出現した例は稀なため報告した.