Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
Pancreatic fluid collectionの内視鏡治療の検討
金子 亨今泉 弘木田 光広宮田 英治長谷川 力也山内 浩史奥脇 興介岩井 知久小泉 和三郎
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2017 年 91 巻 1 号 p. 81-84

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抄録

【背景】近年,pancreatic/peripancreatic fluid collection(PFC)に対してEUSを用いた経消化管的ドレナージ(EUS-CD)や,それに引き続きEndoscopic necrosectomy(EN)が行われるようになり,良好な成績を得られている.以前は外科的処置が必要な症例であっても内視鏡治療のみで治療が行え低侵襲に処置が行うことが可能となった.【目的】Pancreatic fluid collectionに対する内視鏡治療の有用性と安全性を検討する.【結果】2000年1月から2016年12月までの期間,当院で施行されたEUS-CDは67例であった.そのうち臨床的に改善を認めない症例22例に対しENを行っている.また経皮ドレナージを追加した症例が4例ある.EN施行後全例臨床的に改善を認めている.短期での偶発症は,EUS-CDでは7例(1.9%)で認められた.内訳は出血4例,leakage1例,ステント迷入1例,GW断裂迷入1例であった.ENでは出血を3例に認めた.またENで空気塞栓,誤嚥性肺炎の合併は認めなかった.【結論】PFCに対するEUS-CDやENは多くの施設で繁用されその有用性についてはコンセンサスが得られつつある.低侵襲であるが偶発症は,ときとして致命的となりうる.安全な処置を行うために今後さらなる症例の蓄積が必要である.

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© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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