2017 年 91 巻 1 号 p. 76-80
胆膵内視鏡は処置時間が長いことから,安定した処置を実現するために,鎮静を深く設定する必要がある.さらに,高齢者や全身状態の悪い患者を対象とすることが多いため,リスクマネージメントが必要である.今回我々は,まずAmerican Society of Anesthesiologists physical status (ASA-PS)と胆膵内視鏡中の呼吸循環器系合併症の関与について検討した.介入を要する低血圧,徐脈,低酸素血症を来した症例はASA-PSが有意に不良であった.全身状態,背景疾患およびASA-PSによる術前の患者評価を行い,鎮静薬の投与量を調整する必要性が示唆された.また,当院で導入した急変時シミュレーションは,多職種が関わることで複数の有効な安全対策を同時に検討・導入することが可能となり,より安全な胆膵内視鏡診療を構築する機会を得ることができた.十分に計画された急変時シミュレーションの導入は,安全・確実な内視鏡診療を進めるうえで有用であり,今後,多くの施設での導入が期待される.