2017 年 91 巻 1 号 p. 90-93
内視鏡診断・治療の進歩によって,消化管腫瘍における内視鏡診療はますます重要となっている.当院では,精査内視鏡検査を専属の内視鏡医が実施し,内科,外科と放射線科の総意で治療方針を決定する体制を構築している.さらに,laparoscopic and endoscopic cooperative surgery(LECS)の導入以降,手術の場でも内科と外科の連携が必要となった.当院で臨床研究として実施しているcT1N0胃癌を対象としたsentinel node navigation surgery(SNNS)はその典型例である.SNNSは,色素法と放射性同位体トレーサーを用いてsentinel node(SN)を同定し,術中迅速病理診断でSNの転移が陰性であれば縮小手術を行う術式である.当院では,SNNSに非開放式LECSであるnon-exposed endoscopic wall-inversion surgeryを組み合わせた縮小手術を行っているが,その術前診断と実際の治療において,内科と外科の協調は必須である.また,内視鏡用持針器と針付き縫合糸を用いて,胃内で手縫い縫合を行う内視鏡的手縫い縫合法は,お互いのノウハウの融合によって開発された.このように,内科と外科の協調はあらゆる面で重要であり,今後のさらなる可能性を秘めているといえる.