消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
腹腔鏡下肝生検が診断に有用であったC型慢性肝炎合併Dubin-Johnson症候群の1例
伊原 文恵山田 秀一武藤 ます江近藤 栄作松崎 浩司成木 行彦大塚 幸雄野中 博子
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1993 年 42 巻 p. 302-304

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抄録

 症例は52歳女性。23歳時から黄疸を指摘され,体質性黄疸を疑われていた。平成3年10月,HCV抗体陽性のC型慢性肝炎と診断されている。平成4年5月,全身倦怠感が出現し,某院にてDubin-Johnson症候群とC型慢性肝炎の合併を疑われたが,BSP,ICG,ビリスコビンにアレルギー反応を示し,肝機能面からの検討が不可能であったため,確定診断を目的に当科で腹腔鏡下肝生検を施行した。肝表面は典型的黒色肝の色調を呈し,腫大はあるものの陥凹は目立たなかった。組織学的には小葉中心帯中心にメラニン類似色素顆粒を認め,典型的Dubin-Johnson症候群と考えられた。なお肝炎合併例であったが,色素顆粒消失および黒色肝褪色を認めず,これはC型肝炎の漫性期で非活動型のためと考えられた。本症例では腹腔鏡検査が確診に非常に有用であった。

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© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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