消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
陥凹型早期胃癌の浸潤範囲に関するファイバースコープと電子内視鏡の診断能の比較検討
中井 久雄大井田 正人山縣 さゆり菅 知也田辺 聡小泉 和三郎横山 靖西元寺 克禮
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1993 年 43 巻 p. 96-99

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抄録

 1990年11月より1992年9月までの1年11ヵ月間に当院にて切除された陥凹型早期胃癌のうち,ファイバースコープと電子内視鏡の両者にて観察を行った42病変について,浸潤範囲診断の比較検討を行った。癌巣の基本色調を褪色(22例),同色(5例)および発赤(15例)の3つに分類した。それぞれを内視鏡所見として色調の明瞭化,血管透見性,胃小区模様の描出,陥凹境界,光沢についてファイバースコープに対する電子内視鏡の有用性について検討を行った。また,切除標本の病理組織学的検討も加えた。発赤群では約半数の症例で電子内視鏡が有効であった。同色群で両者間に大差は認めなかった。褪色群では電子内視鏡が無効であることが多く,しかも癌の粘膜内浸潤が表層浸潤型のもので顕著であった。しかし,色素内視鏡の併用にて明瞭化され,これを補うことができた。

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© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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