胃液中に逆流した胆汁酸中に含まれるタウロコール酸を,胃体下部小彎側における粘膜の萎縮傾向(大島の基準による)と比較検討した。血管の軽度透見(+)群,中等度透見(⧺)群におけるタウロコール酸の逆流頻度(各々57.1%,N=14,55.6%,N=9)は,血管透見像の全く認められない(-)および色むら程度で血管透見像のみられない(±)群における逆流率(18.8%,N=16)より有意に高い値を示した(各々p<0.05,p<0.001)。タウロコール酸濃度と血管透見像の関係について観察すると,(-),(±)群では1.82±1.07nmol/m
l(N=16)であるのに対し,(+)群,(⧺)群では高濃度であった(各々17.43±6.97nmol/m
l(N=14),p<0.05,21.45±14.47nmol/m
l(N=19))。これらより胃内に逆流したタウロコール酸と萎縮性胃炎の間に明らかな関連性が認められた。また,タウロコール酸の逆流頻度と濃度には内視鏡的幽門輪形態,蠕動運動による相違はみられなかった。
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