消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
早期胃癌におけるリンパ節転移陽性例の臨床病理学的検討
山田 みちる緑川 昌子三治 哲哉半田 豊森田 重文大野 博之吉田 肇鶴井 光治三坂 亮一川口 実斉藤 利彦
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1994 年 44 巻 p. 82-86

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抄録

 過去31年間に経験した手術切除早期胃癌1,137症例(1,291病巣)を対象に,性,年齢,深達度,大きさ,占居部位,肉眼型,組織型とリンパ節転移との関係を検討した。単発および多発を含む切除早期胃癌のリンパ節転移陽性率は7.1%であった。このうち単発胃癌の転移率は7.6%で,男性,若年層(20・30歳代)と高年層(70・80歳代)に高い傾向があり,m癌は2.5%,sm癌は14.9%と有意にsm癌の転移率が高かった(p<0.05)。単発m癌においては男性,若年層,混合型,未分化型腺癌,A・M領域(C領域には認めず)に転移率が高い傾向にあった。多発胃癌の転移率は3.1%で,女性,中年層(40・50・60歳代)に高い傾向があり,m癌には転移がなく,sm癌は6.2%の転移率であった。今回の検討では,リンパ節転移が認められなかった早期胃癌は,①長径3cm以下のul(-)の分化型m癌,②Ⅱb型m癌(大きさは問わない)であり,従来よりも内視鏡的胃粘膜切除術の適応拡大となる可能性が示唆された。

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© 1994 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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