1994 年 44 巻 p. 92-94
過去3年間の大腸内視鏡検査において,平皿状で一部が隆起した病変9例についてⅡa+Ⅰ様表面型腫瘍と診断し,臨床病理学的検討を加えた。年齢は45-69歳で,男性8例,女性1例であった。発生部位はS状結腸6例および直腸3例であった。大きさは5-13mmで,いずれも内視鏡的切除を行った。実体顕微鏡下での観察を行った8例では,工藤らの分類によるⅢS型1例,ⅢL型6例,Ⅴ型1例であった。病理組織学的検索では中等度異型腺腫が3例であったのに対し,高度異型腺腫が3例,癌が3例と多かった。以上より,Ⅱa+Ⅰ様表面型腫瘍は悪性度の高い病変が多いと推察され,その取扱いにおいては内視鏡的切除を行うなどの慎重な配慮が必要と考えられた。