消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
内視鏡的静脈瘤結紮術が有効であった十二指腸静脈瘤の1例
小山 博石原 学西野 執米谷 隆近藤 栄作片山 雅彦中谷 尚登長山 徹武藤 ます江山田 秀一瓜田 純久蜂矢 朗彦小島 保明吉永 淑子成木 行彦大塚 幸雄
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1995 年 46 巻 p. 104-107

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抄録

 症例は50歳男性。吐血を主訴に来院し,食道静脈瘤出血にてクリップ結紮術(EVL-c)と硬化療法(EIS)の併用療法を施行後,経過観察中に上部消化管内視鏡にて十二指腸静脈瘤が疑われ,精査加療目的で入院となった。低緊張性十二指腸造影では,下行脚に表面平滑な孤立性の隆起性病変が認められ,経上腸間膜動脈造影では十二指腸近傍に静脈への還流を認め,超音波内視鏡では十二指腸の壁内外に多数の血管像が描出され,十二指腸静脈瘤と診断された。孤立性の十二指腸静脈瘤に対してEVLを行い,周囲に1%aethoxysklerolを計5ml局注した。後出血もなく,静脈瘤は完全消失した。近年,十二指腸静脈瘤破裂の報告は増加しているが,内科的には治療が難しい。食道静脈瘤硬化療法の既往のある十二指腸静脈瘤も含めて,孤立性の静脈瘤はEVLのよい適応と考えられた。本邦では自験例も含めて,内視鏡的静脈瘤結紮療法を施行したのは2例にすぎず,若干の文献的考察を加え報告する。

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© 1995 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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