消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
早期胃癌の治療法選択における20MHz細径プローブを用いた超音波内視鏡の有用性
栗原 直人熊井 浩一郎大谷 吉秀大上 正裕久保田 哲朗北島 政樹
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1995 年 47 巻 p. 69-72

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抄録

 早期胃癌に対する治療法を選択するにあたり,内視鏡による病変の範囲や深達度診断が重要である。教室ではsm癌症例に対して標準術式(D2郭清)を行い,m癌に対しては開腹縮小手術(D1郭清),腹腔鏡下手術(lesion lifting法による腹腔鏡下胃局所切除術,腹腔鏡下胃内粘膜切除術),内視鏡的粘膜切除術などを適応基準により選択している。このような治療法の選択に重要なm癌の深達度診断精度向上を目的として20MHzの細径プローブ(リニア型,ラジアル型)を用いた超音波内視鏡検査(EUS)を行った。48症例に対して病理組織学的診断との対比からEUS深達度診断に検討を加えた。m癌の深達度正診率は全体として88.9%であるが,従来のリニア型プローブと比較して,最近開発されたラジアル型プローブを用いた正診率に向上がみられた。外科病理学的検討では肉眼型で隆起型,組織型で高分化型腺癌,INFαの症例で高い正診率が得られた。EUSにてm癌と診断したが,術後病理組織学的にsmと診断された症例は3例あり,病型としては陥凹型,組織型はtub2-porであった。m癌に対する治療法の選択にあたり術前診断として病変の大きさ,肉眼型,組織型を明らかにするとともに,より高い正診率が得られる20MHz細径プローブを用いたEUSは,壁深達度診断に有用であると考えられた。

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© 1995 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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