内視鏡的ポリペクトミーによって得られたtubular adenoma 16例,tubulovillous adenoma7例,mucosal cancer6例の腫瘍マーカー(CEA,CA19-9,PCNA,p53)の局在を免疫組織学的に検索し,大腸ポリープのmalignant potentialityを検討した。腫瘍マーカーごとに染色率をみると,CEA染色の陽性率はtubular adenoma 81.3%,tubulovillous adenoma 85.7%,mucosal cancer 100%であり,CA19-9染色では同じ順序で62.5%,71.4%,83.3%であった。PCNA染色の陽性率は同じ順序で56.2%,88.9%,100%であった。p53の陽性率はtubular adenoma 0%,tubulovillous adenoma 11.1%,mucosal cancer 66.7%であり,p53染色に関してはmucosal cancerとtubular adenomaは推計学的に有意差(p<0.05)を認めた。CEA,CA19-9,PCNAは各群間に推計学的有意差を認めなかった。p53は大腸腺腫の癌化の重要な役割を果たす可能性があることが示唆され,諸家の報告とも一致した。腫瘍マーカーの染色は大腸ポリープのmalignant potentialityを知る1つの研究手段であり,腫瘍マーカー染色を組み合わせることによってmalignant potentialityを考察することが可能となると思われる。