消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
胃顆粒細胞腫に内視鏡治療を施行した1例
松本 宙明門馬 久美子小澤 広加藤 久人荒川 丈夫榊 信廣中村 二郎小池 盛雄藤谷 幹浩池上 雅博
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1996 年 49 巻 p. 115-117

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抄録

 生検にて胃顆粒細胞腫と診断し,内視鏡的粘膜切除術にて治療した1例を経験したので報告する。症例は39歳男性。検診の内視鏡検査にて胃体下部大彎に,直径約7mm大,山田Ⅰ型で表面が正常上皮で被われた,やや黄白色調の胃粘膜下腫瘍が指摘された。生検組織の免疫染色などから顆粒細胞腫と診断され,内視鏡的粘膜切除術を施行した。切除標本では,6×5×2mmの灰白色の充実性腫瘤が粘膜下層を中心に存在し,一部粘膜筋板を超え粘膜固有層まで侵入していた。粘膜下層の神経にそって腫瘍細胞の進展が確認されたが,切除断端,深部断端ともに腫瘍細胞を認めなかった。本症の本邦報告例10例の検討では,8例が胃体部に存在し,大きさ10mm程度で,内視鏡的に色調は淡黄色-黄白色調であった。本症を疑診された場合には,生検で診断しえなかった場合でも,全生検目的に内視鏡的粘膜切除術を施行すべきと考えた。

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© 1996 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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