1998 年 51 巻 p. 128-132
体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)に経鼻膵管ドレナージ(ENPD)を併用し,良好な治療効果が得られた嚢胞合併膵石症2例を経験した。症例1は54歳,男性。主訴は腹痛。膵頭体部にX線陰性結石を認めた。膵頭部に55mmの嚢胞を認めたためENPDを挿入し嚢胞のドレナージを図りつつ,造影下にフォーカシングしESWLを施行した。ESWL4,000発で結石は破砕され,嚢胞は著明縮小し,腹痛も消失した。症例2は65歳,男性。主訴は腹痛。膵管内にびまん性結石を認め,膵尾部に40mmの嚢胞を認めた。ESWL26,700発施行後,ERPで残石を認めたが,内視鏡的には採石不可であった。ENPDを留置し,造影下にフォーカシングしESWLを4,000発追加したところ,破砕片の流出を認め,症状,結石,嚢胞は消失した。ESWLにおけるENPDの併用は,嚢胞ドレナージ,破砕片のドレナージ,およびフォーカシングの点で有用であった。