抄録
症例は16歳,女性。腹痛,嘔気,発熱を主訴に当院に入院。入院時の胃内視鏡検査では,胃体中部から前庭部に発赤を伴うびらんが散在していた。さらに入院後,鮮血便を認めたため,大腸内視鏡検査を施行。胃に認められたびらんと類似するびらんや潰瘍が,直腸からS状結腸に多発していた。また,腹部CTにて腸管壁の肥厚を認めた。その後,関節痛および下肢や臀部に紫斑が出現し,皮膚生検組織を用いた蛍光抗体法の所見などからSchönlein-Henoch紫斑病の診断となった。ステロイドと第Ⅷ因子製剤の投与により,腹部症状および紫斑は徐々に軽快し,内視鏡的にもびらんや潰瘍は消失したため,軽快退院となった。Schönlein-Henoch紫斑病の診断には,内視鏡検査は必ずしも重要ではないが,内視鏡所見の報告例は少なく,今回特徴的な内視鏡所見を経験したので,文献的考察を加えて報告する。